日本映画全盛期を代表するスター女優のひとりとして、東映在籍中60本以上の作品に出演してきた三田佳子さん。未だ挑戦し続ける彼女のTHE CHANGEとはーー。【第1回/全2回】
テレビも映画もない頃から、私は「女優」でした。中学三年の時から舞台や児童劇団に関わって、ラジオドラマにも出ていましたから、その頃から数えれば、もう70年近くになります。
当時のラジオドラマというのは、今の人には想像もつかないでしょう。波の音を出す時は、ザルのようなものに小豆を入れてザザ〜ッと、ゆっくり揺らす。マイクのオンとオフも自分の体で。オフの時には声を出さず、遠くから声をかける場面では、離れた場所からセリフを言ってマイクに近づいていく。そういう時代から始まりました。
NHKでテレビが試験的に始まったのが、昭和25年頃のことでした。その時からテレビにも出ていましたから、昭和という時代をまるごと生きてきたわけです。東映に入ったのは1960年、18歳の時です。女優というのは本当に長い仕事だなと、改めて思います。
「代表作を挙げて」と聞かれたら、いろいろあるけれど、やっぱり『Wの悲劇』(1984年)は忘れられない作品です。薬師丸ひろ子さんが主演で、私は劇団の大女優・羽鳥翔を演じました。その年の助演女優賞をほとんどいただきましたね。あれだけ絶賛していただいたのは、長いキャリアの中でも珍しいことで、あの作品に出会えたことは、本当に幸運でした。
澤井信一郎監督には、最初から「存在だけで演じることはしたくない」とお伝えしました。私もそれなりのキャリアがあって、アイドルとして全盛期だったひろ子ちゃんと向き合うので、役と似たような関係性でした。でもそうではなく、お互いにその役としてぶつかりたかった。ひろ子ちゃんもすごく頑張ってくれて、私も全力でやりました。