雨穴が衝撃を受けた見開きページ
――雨穴さんの人生を変えた作品とは?
「週刊少年ジャンプの人気漫画、冨樫義博先生の『HUNTER×HUNTER』(集英社)です。全編を通して好きな作品ですが、特に、最新章の“暗黒大陸編”に感動しました。物語の舞台が未知の世界である暗黒大陸へ移る、そんなワクワクするストーリーなんですが、その章の冒頭に、これまで一切明かされなかった暗黒大陸がドーンと見開きページで描かれた場面が出てくるんです。そのページを見たときの衝撃は、今でも忘れられません。
捕食中の巨大モンスターがいたり、古代の昆虫のようなモンスターが飛びまわっていたり、グロテスクな植物が生えていたり、ページいっぱいに不気味な生物がいる。そして、その背後には、今まで見たことがない未知の大陸が広がっている。それを見て、ワクワクするような好奇心と、ゾクッとするような気持ち悪さを同時に感じました。そして、“そうだ!自分はこういうものが好きだったんだ!”と思い出したんです」
――なるほど。
「その暗黒大陸のページを見た約1年後に、私は“雨穴”として活動を始めました。なので、『HUNTER×HUNTER』は、私が創作活動を始めるきっかけとなった作品のひとつと言えます。今でも、あのページのような、気持ち悪いけど目が離せないと思わせる作品をつくろうという目標を持っています」