「すごく怖い人たちなのに、スタイリッシュ」

 覆面作家の雨穴さんは、映像作品などで姿を現すとき、全身黒装束に白い仮面をつけて登場する。そこで、こんなことを聞いてみた。

――雨穴さんの仮面姿は、どこか『HUNTER×HUNTER』にも出てきそうな見た目ですよね。

「それは初めて言われましたけど、意識はしていません。ユーチューバー活動を始めるにあたって、作品を際立せるために、自分自身の情報量を少なくしようと思って、黒装束をベースにした格好になりました。

 ただ、ビジュアル面でいうと、『HUNTER×HUNTER』のヨークシン編に登場する“幻影旅団”に惹かれます。誰がというわけではなく、幻影旅団が並んでいる姿がすごく好きで、人物も服装もバラバラなのに、並んでみると統一感がある。それに、すごく怖い人たちなのに、とてもスタイリッシュ。いろんな要素が混ざっている感じが、とてもいいです。

 私は、短い映像作品を作るとき、怖いだけで終わらないように意識しています。一瞬で人の興味をひくためには、怖いけどかっこいいとか、怖いけど滑稽だとか、複数の要素が必要なんです。その点では、通じるものがあるかもしれません」

 素性を一切明かしていない雨穴さん。今回のインタビューでも終始、暗闇の画面越しの会話だったが、立ち入った質問にも真摯に受け答えするその姿勢からは、その人となりが伝わってくる。

雨穴(うけつ)
ホラーな作風を得意とし、“ネット界の江戸川乱歩”とも呼ばれる覆面作家。ユーチューバーとしても活動中で、登録者数は95万人を超え、ユーチューブの総動画再生回数も1億回を突破。白い仮面と黒い全身タイツが特徴的。デビュー作『変な家』(飛鳥新社)に続き、初の書き下ろし長編小説『変な絵』(双葉社)は、45万部を超える大ヒット。著書累計は100万部を超える。