ボイル監督「遊び心を持って作れたと感じています」
木村多江さん演じるお屋敷のオーナーから「屋敷に出る男の亡霊を祓ってほしい」との依頼を受けた穂志さん演じる霊媒師が、怪現象と対峙する。古めかしくも魅力的な除霊道具や屋敷のインテリア、おそろしく効果的な音と明暗、一筋縄ではいかない展開、そして“洋館ホラー”といったジャンルに当てはまらない演出は高く評価され、「サウス・バイ・サウスウエスト2026」ミッドナイター部門で観客賞を受賞したほか、世界各地の映画祭で賞を受賞している。
デイヴ・ボイル(以下、ボイル)「僕は元々ホラーファンなんです。ホラーは非常にフレキシブルなジャンルといいますか、どんなテーマでもホラーにできると感じていて。今回は、幽霊ものを含めた、おもしろい映画にしたいなと思いました」
賀来賢人(以下、賀来)「デイヴが言ったようにホラーというジャンルはすごくポテンシャルがあるなと思っていました。そんななかで、デイヴが最初に送ってくれたプロットを見て、キャラクターの深さや物語自体のおもしろさ、そしてもちろん、ホラー的な怖さが魅力的だなと思ったんです。『僕たちの初めてのプロジェクトはこれだ!』とすぐに決まりましたね」
ボイル「当初から、幽霊モノとサイコスリラーのような要素を混ぜた映画にしようと思っていたんです。お客さんが期待しているだろうな、というところをあえて裏切るなど、そういった遊びは自分なりにわりと出来たかなと思っています」
ーーどんな“裏切り”でしょうか。
ボイル「たとえば、幽霊モノの場合、幽霊ってだいたい被害者だと思うんですが、従来の幽霊モノとは違った展開になっていく。お客さんに向かって『こうなると思っているでしょ? 実はこうだよ』と思わせるような、遊び心を持って作れたと感じています」
ボイル監督が作り出す読めない展開は、ホラー的なカメラワークや演出と相まって刺激的な映像体験を生み出すが、賀来さんは「スタッフが日本人だけじゃなかった」点におもしろさを見出していた。
賀来「今回の製作陣は日本人だけではなかったんです。デイヴとカメラマンがアメリカ人、そしてほかのスタッフは日本人っていう構成で。だから、撮影中もジャパニーズホラーでもなければ洋ホラーでもない、ちょっと不思議な無国籍感のあるホラー映画のように感じられて、それがすごくおもしろかった。カメラマンのパトリックが撮るホラー感と、日本人スタッフが作り出す美術がうまく混ざり合って、日本のおどろおどろしいホラーさもありつつ、絶妙なバランスが見えてきてわくわくしましたね。これがどんな仕上がりになるんだろうと思っていたら、デイヴがうまく“料理”してくれて。月並みですけど、見たことがないホラーになったんじゃないのかなと思います」