『WAHAHA本舗』入団から芸能生活をスタートし、40年にわたる俳優生活の中で、『警視庁捜査一課9係(後に『特捜9』に変更)』で20年近く青柳刑事を演じてきた吹越満さん。“得体の知れない”存在になりたいと願っていた彼のTHE CHANGEとはーー。【第1回/全2回】
テレビではよくお顔を拝見するけど、名前が分からない。そういう人っているでしょ。デビュー当時のタモリさんとか。ああいった“得体の知れない”っていう雰囲気が好きだったんです。テレビには出ない、映画でしか観られない俳優さんもいましたよね。例えば、渥美清さんとか。当時は、今と違って映画は映画館でしか観られなかったですから。そういう、全部を見せない、つまり得体の知れないで成立する人っていうのは映画スターぐらいかなって思ったんですよ。それで19歳のときに、青森から上京して俳優を目指そうと思ったんです。
上京したのはいいんだけど、演劇のことは何も分からず、住み始めたのは、小劇場が集う世田谷の下北沢でした。そこで東京乾電池や東京ヴォードヴィルショーといった劇団の芝居を観るようになったんです。
『WAHAHA本舗』が旗上げしたのが、ちょうどそのタイミングでした。既にスターがいる歴史ある劇団とは違って、まだできたばかりの『WAHAHA』なら自分でもスターになれるんじゃないか……って思い、入団を決めました。上京するとき、ある人に相談したら「やりたいと思うんだったら、やればいい。危険を冒すことには反対しないよ。ただ、25歳までやって芽が出なかったら、スパッと諦めて帰ってこい。それを約束するんだったら応援するよ」って言われたんです。ところが、当時の『WAHAHA』の先輩方ってみんな26歳(笑)。26歳で劇団を旗上げする人たちがいるのに、25までに芽が出なかったら辞めるなんていうのは生意気だなって。それで、年齢にこだわることもないなって思ったんです。