「宝塚には『男役10年』という言葉があるのです」

 しかし、スタートは順風満帆に見えるも、娘役へ転向しようか迷った時期もあったという。

「私が名古屋から観劇に通っていた頃は、ちょうど『ベルサイユのばら』の黄金期で、安奈淳さん(元星組トップスター)のような、時には女役もされるフェアリータイプの男役さんに憧れていました。自分自身もそれほど背が高くなかったので、中性的な男役を目指していました。でも私は股関節の症状もあってダンスが得意ではなかった。だから、娘役になったほうが良いのではないかという気持ちもあった。入団後、ありがたいことに麻実さんとは本当に深いご縁がありました。そんな時に、麻実さんから“せっかく宝塚に入ったのだから、男役を極めなさい”と言われたのです」

 まだ若手だった一路さんにとって、その言葉は人生を変える転機となった。

「麻実さんの言葉がすべてでした。その一言で“男役として生きていこう”と覚悟が決まりました。宝塚には『男役10年』という言葉があるのです。娘役なら数年で大役に抜擢されるけれど、男役は違う。男役は一朝一夕にはできないんです。研究して勉強して、積み重ねる時間が必要。娘役も男役も経験したからこそ、その重みを実感しています。

一路真輝 撮影/松島豊

 人生の転機と言えるのも、麻実さんの相手役を務めさせていただいた経験です。 宝塚には当時4つの組があり、自分が応援している組以外の生徒のことは、ファンの方も上級生もあまり詳しく知らない状況でした。それにもかかわらず、私が麻実さんの相手役をさせていただいたことで、他組の上級生の方々や多くの宝塚ファンに『一路真輝』という名前を知っていただけるようになった。これは私の人生における大きな分岐点であり、そこから“トップスターにならなければいけない”という使命をいただいた気がします」

 この6月、芸能生活45周年を記念したコンサートを行う一路さん。今も歌い続ける一路さんの人生で欠かせない存在は、『昭和ゴールデンHITS100』で最も上級生の麻実さんだったのだ。

(つづく)

公演概要
タイトル:一路真輝45周年コンサート「REFLECTION OF THE HEART」
開催日時:2026年6月20日(土) 12時30分開演 / 17時00分開演 6月21日(日) 13時00分開演
会場:東京芸術劇場 プレイハウス (〒171-0021 東京都豊島区西池袋1-8-1)
出演:一路真輝 / 家塚敦子 河合篤子 武内耕 縄田晋
ゲスト:安蘭けい(6月20日12時30分公演) 坂本冬美(6月20日17時00分公演) 鳳蘭(6月21日13時00分公演)
構成・演出:寺崎秀臣
音楽監督:竹内聡
チケット料金:1階席13,000円、2階席11,000円(全席指定・税込み)
チケット取扱い:チケットぴあ/イープラス/ローソンチケット
チケット受付:2026年4月17日(金)より一般発売中
主催:文化放送/東宝エージェンシー
問い合わせ:文化放送イベントインフォメーション 03-5403-2626 (平日:11時00分~17時00分)