15年間『会社四季報』(東洋経済新報社)全ページを読み込んでいるという分析力から、分かりやすい解説に定評があり、書籍が続々とヒットを飛ばしているトルコ出身のエコノミスト、エミン・ユルマズ氏。自身のXやYouTubeは常に高い閲覧数・再生数を誇り、経済系YouTubeチャンネルでの解説や連載も数多く行っている。今や“最も注目される文化人”の1人であるエミン氏に、日本社会の課題から経済の見通し、知られざる“好きなエンタメ”から転機=CHANGEまで、幅広く話を聞いた。【第2回/全6回】
ここ数年、日本では過度な円安が国家的な課題となっている。
日本銀行は円の国際的競争力や“実力”を示す「実質実効為替レート」をHPで公表しているが、2020年を100としたとき、今年4月の数字は65.7と、統計が始まった1970年(1ドル360円の固定相場制)をも下回っている。当時といえば、海外旅行が一生に一度の大イベントで、出国時には親族総出の見送りをする時代だったが、国際的にはあの時代以下の貧しさというのが実情だ。
この歴史的円安を受け、政府日銀は1ドル160円台に入った4月末から断続的に為替介入を実施。一時は155円台まで円高が進んだが、1ヶ月ほどで介入前とほぼ同じ水準まで戻り、6月18日朝には介入前よりも円安に、翌19日未明には2年前の介入水準に近い162円近くまで下落した。
エミン氏もこの円安には危機感をあらわにしており、政府日銀の“限界”まで指摘する。
エミン・ユルマズ(以下同):「2022年に為替介入を行った際は、その後130円台まで大きく円高に振れました。しかし今回は、長期のトレンドラインである『200日平滑移動平均線』すら割っていません。ちっぽけな動きだけで、一瞬で戻っている。
しかも財務省が発表した今回の介入総額は、2年前の倍以上、過去最大の約12兆円。これほどの資金を投入したにもかかわらず、円安のトレンドラインすら割らせることができなかったので、もう限界だと思います。もはや為替介入だけでどうにかできるような段階ではありません」