国会と報道の両方でバッシングも「数日後から事態が劇的に…」
──2期目の2016年、「保育園落ちた日本しね」のブログを国会で紹介して一躍、脚光を浴びました。
「あのブログは、当時インターンで来ていた女子学生に教えてもらったんです。「自分たちの将来のリアルな悩みだ」と言っていた。これは現役の母親だけでなく、これから社会に出る学生たちにとっても切実な問題だと思って、予算委員会で取り上げたのですが、「死ねとは何事だ」「ブログなんて事実か分からない」などとヤジと怒号が飛び交う30分間。もう「大失敗した。勇気を持って声を上げてくれたお母さん、ごめんなさい」と激しく落ち込みました。
匿名だとか言葉遣いだとか、枝葉の話になってしまって。報道もそういう表層を伝えるばかりで、待機児童問題の本質にスポットライトが当たることはなく、自分のプランニングが悪かったのだと反省しました。
ところが、数日後から事態が劇的に動いた。「匿名だと国会で相手にされないなら実名を出す」というお母さんたちが現れて、自然発生的な署名活動や国会前でのサイレントデモへと発展したんです。お母さんだけでなく、お父さんやおばあちゃん、保育士を目指す男子学生も参加してくれた。そういう世論の巨大なうねりが政策を動かし、子育て政策が国政の中心課題に躍り出た。待機児童問題は大きく前進しました。今ではどの地方選挙でも、子育て政策を掲げなければ勝てないという状況になっている。野党でも社会の仕組みを変えられると実感した瞬間でした」
──翻って現在は、あのようなダイナミックな国会の議論は影を潜めつつあるように見えます。選択的夫婦別姓や同性婚など個人の生き方に関わる重要なテーマも政策課題からすっかり後退していますね。
「法律婚という形で家族を育む選択肢を増やせるようにするという話なので、保守とリベラルが歩み寄れる範囲だと思うのですが、なんとなくイデオロギーに触れる気がするような課題は触りづらくなっていますよね。
SNSの影響は大きいと思います。切り抜き動画や中傷動画で落選運動をやられたら、その影響力は計り知れないので、政治家がSNSに怯える時代になっている。だから目立つ発言はしたくないと委縮してしまう。それが政策の停滞に直結している気はします」
(つづく)