今思えばありえない個人情報公開
ーー『ASAYAN』に、制服姿の鈴木さんがバーバリーのグレーのチェックのマフラーをしていたのが映った翌日から、うちの高校の通学路がグレーのマフラーだらけになったんです。
鈴木「ええ!! ほんと!? ……鳥肌立った……すごい、初めて聞きました」
ーーあれは完全に鈴木さんの影響だと思います。
鈴木「すごい……ちょっとブルブルってしちゃった……」
巷の熱狂はご本人には届いていなかったが、鈴木さん自身は混乱の渦中にいた。
鈴木「お母さんと“部活は続ける”という約束はしたものの、物理的に難しくなってしまったんです。人が集まりすぎて、学校にすら行けなくなってしまって」
ーーファンの方が見物に来るんですか?
鈴木「そう。今思えばありえないけど、『ASAYAN』では学校名もお父さんの名前も出していて、自宅も映ってましたから。お父さんの名前をタウンページからたどれば電話番号もわかるし、プライバシー垂れ流し状態。みんな来ちゃうし、1日中電話が鳴りっぱなしでした。
普通に生活ができない状態になり、毎日のように“これからどうしようか”と家族会議をしていましたね」
ーー危険な目に遭うことは?
鈴木「当時はスマホのカメラもなかったし、むやみな盗撮もなく、ただ家の前にずーっといる、というくらいで。何事もなくよかったです」
生活に支障が出たことで引っ越しを決めた鈴木さん一家は、鈴木さんがまずひとりで上京し、芸能科のある高校に転校。その後、家族が追いかけた。
ーーまさに、人生が変わってしまった瞬間ですね。
鈴木「私だけじゃなく、家族も含めて、ですね」
国民的人気者だけが経験したTHE CHANGE。そこには、想像を絶する激動の日々があったのである。
■鈴木亜美(すずき・あみ)
1982年2月9日生まれ、神奈川県出身。1998年2月、オーディション番組『ASAYAN』(テレビ東京系)の『ボーカリストオーディション・ファイナル』で1位となり小室哲哉プロデュースで歌手デビュー。シングル『white key』や『BE TOGETHER』、アルバム『SA』や『infinity eighteen vol.1』などで大ヒットを記録し、ヒットチャート常連歌手としてメディアを席巻。現在は3児の母としてSNSで飾らない育児を発信中。バラエティ番組では激辛女王として再ブレイクし、25周年の今年は新曲『I just feel good(Prod.TeddyLoid)』をリリース。