デビューは9歳。幅広い役をこなす確かな演技力でドラマに映画にと引っ張りだこ、ハスキーボイスは声優としても重宝される女優・伊藤沙莉さん。7月31日公開の『映画クレヨンしんちゃん 奇々怪々! オラの妖怪バケ~ション』では、九尾の狐の妖怪・やこ役を熱演した。女優・ナレーター、『NHK紅白歌合戦』の司会などマルチに活躍する伊藤さんのTHE CHANGEとは。【第3回/全3回】

伊藤沙莉 撮影/三浦龍司

 7月31日公開の『映画クレヨンしんちゃん 奇々怪々! オラの妖怪バケ~ション』で、見た目は小さな少女だが中身は500歳の妖怪・やこという難しい役どころに挑んだ伊藤さん。思えば、2003年のデビュー作『14ヶ月〜妻が子供に還っていく〜』(日本テレビ系)でも、子どもの体に若返った大人の女性という難しい役を、9歳にして演じきっていた。

 その後も、映画『獣道』(2017)、連続テレビ小説『虎に翼』(NHK)、『地獄に堕ちるわよ』(Netflix)などに出演し、その世界観に入り込んでさまざまな“顔”を体現してきたが、その“原点”には世界的俳優の存在があった。

「人生で初めて“その人”に熱中して追いかけたのが、ジム・キャリーだったんです。幼稚園か小学生の頃、隣の家のお父さんが洋画好きで、そこに入り浸ってビデオテープを見せてもらう中、『マスク』(1994)を見て衝撃を受けたんですよね。そこでジム・キャリーに興味が湧いて、出ている作品を片っ端から見るようになって」

──ジム・キャリーのどこが子ども心にヒットしたのでしょう。

「『マスク』では表情がパッパッと変わって飽きない、『人ってこんなにも色んな声を出して色んな表情ができるんだ』という衝撃がありました。その後に見た『ふたりの男とひとりの女』(2000)という映画が、また『マスク』を超えて大好きなんですよね!」
 これは、ジム・キャリーが演じるキャラクターの中に2つの人格があるという設定で、しかもお互いが恋敵。1つの体で2人が喧嘩する様が、小さいながらに『なんかすごいモノを見ているな……』という感覚になりました。セリフの意味は、子どもには難しくてそこまで分からなかったんですけど、見ているだけで楽しい。1人で2つの役を、それぞれちゃんと人間味を活かした状態でやるっていうのが、凄く素敵だったのを覚えています」