精神年齢はまだ12歳くらいです
幸四郎さんは吉右衛門さんの甥御さんですので、ふとしたときに「似ていらっしゃる」とドキッとすることがありましたね。間の取り方とか、声の出し方とか。染五郎さんは、とにかく魅力的! 高麗屋さんのおふたりには、撮影の間中、しびれっぱなしでした。
還暦を迎えるという節目の年に『鬼平犯科帳』という、ぼくにとって大切な作品と再会することになったのですが、年齢を重ねたのは体のほうだけで、精神年齢はまだ12歳くらいです(笑)。ただ、経験値というのは大きいと思います。ごまかすのはだんだんうまくなってきた。こんなことを言ったら笑われるかもしれないけど、若い頃からずっと思っていたことがあるんです。
役者という仕事を続けていると、知識や経験はどんどん増えていくわけじゃないですか。一方、体力は年齢とともに落ちていく。もちろん、体を鍛えていれば、体力が落ちていくスピードを緩やかにすることはできると思うし、知識のほうだって勉強をするかしないかで伸び方は大きく変わってくるとは思う。でも、いずれにしても、体力が落ちていくラインと、知識や経験が増えていくラインがクロスする地点があるはずで、役者としてはそこが一番いい状態なのではないかと思って、その瞬間を楽しみにしていたんですよ。
ところが……全然気がつかなかった……。あったはずなんですよ、絶対に。あんなに楽しみにしてたのに、気がつかなかったなんてね。え?これからやってくるんじゃないかって? そりゃないでしょう(笑)。