母親役を演じる中で成長

「自分のものを買うときや、美術館、映画などは断然、ひとりがいいですね。もともとひとりで行動するのが好きなタイプなので、思い立ったらパッと身軽に!」

 木村が母親になったのは、映画『告白』で第34回日本アカデミー賞「優秀助演女優賞」、第53回ブルーリボン賞「助演女優賞」を受賞した2011年。翌12年にはドラマ『はつ恋』に主演し、13年に次女が生まれてからも、精力的にドラマ・映画に出演してきたが、母親と俳優の両立、切り替えは大変だったのではないだろうか。

「年々、切り替えがグレードアップしています。というか、そもそも切り替えているという自覚もあまりないんですよね。家を出て、現場に向かって、メイクして衣装を着たら、自然と仕事モードの自分になって、終わったら家に帰るという感じ。みなさん、そんなじゃないんですか?」

 逆に質問され、「俳優さんじゃなくても、切り替えが大変というワーキングママは多いです」と答えると──。

「あら、そうなんですね。わたしはあまり深く考えたことが無くて……(笑)」

 と、大きな口を開けて笑う。この自然体こそが、木村佳乃の大きな魅力なのである。

 現在、NHKで朝ドラ『ひよっこ』が再放送中だが、同作で木村はヒロイン・みね子の母親役を、そして最新出演作の映画『汝、星のごとく』では広瀬すずが演じるヒロイン・井上暁海の母親役を演じている。子を持つ役が多い印象があるが、母親役は自身が結婚する前から演じている。

「当時はリアルな母親の感情がわからなくて、難しかったですね」

 前述した『告白』は、湊かなえのベストセラー小説を映画化したもので、木村は過剰なまでに息子を愛する母親役を熱演した。

「わたしが演じた“下村優子”は、ずっと『うちの子はしていません、うちの子は本当はいい子なんです』って言い続けるんですね。息子のことを絶対に疑おうとしない。当時は、どうして疑わないんだろう……と疑問に思ったりもしましたが、今は少しだけ理解できるようになった気がします」

 これからやってみたい役を尋ねると、「年相応の、いろんな女性の役がやりたいです」と即答した。

「わたしはすごく平凡で、一般的な人間なんですけど、いろんな人の人生を経験できるのが、このお仕事の楽しさですね」

 これからどんな女性像をわたしたちに見せてくれるのか、楽しみで仕方が無い。

(つづく)

【作品情報】
映画『汝、星のごとく』
2026年10月9日(金)全国東宝系にて公開
出 演:横浜流星 広瀬すず
松村北斗 中村アン 濱田岳/尾野真千子 木村佳乃
石田ゆり子 長谷川博己
原 作:凪良ゆう『汝、星のごとく』(講談社文庫)
監 督:藤井道人 脚本:安達奈緒子
配給:東宝
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