数々のドラマ、映画、CM等で活躍する俳優の滝藤賢一。彼の原点となるTHE CHANGEとはーー。【第1回/全2回】

滝藤賢一 撮影/有坂政晴

 去年の夏は、映画『遥かな町へ』(10月9日公開)の撮影で、鳥取県倉吉市にひと月ほど滞在していました。白壁の蔵造りの街があり、向こうには打吹公園の丘、さらに遠くには伯耆富士と呼ばれる大山の山並みまで見渡せる、歴史の深い街です。劇団の頃から全国を回ってきましたが、また素晴らしい街に出合えたことにご縁を感じ嬉しく思います。

 作品の時代設定は今から約60年前、私が生まれるよりも前のことです。大正生まれ設定の私の役は、戦地から復員してからは服飾仕立て屋を営む40代の父親。真面目で口数の少ない人物なのですが、結婚して子供がいるにもかかわらず、妻子を置いて失踪してしまうんです。そこから時代が40年も飛んで、その子供が壮年になり、里帰りしたときに、この時代にタイムスリップしてしまうというファンタジーです。

 中学時代の体に戻った彼は初恋の彼女に再会しながら、なぜ父親は失踪したのかという問いの答えも追ってしまう。意識は大人のために、当時40代だった父親と同じ目線で物語が進んでいく。それが原作、谷口ジローさんの劇画でした。

 倉吉のロケの最中に、三國連太郎さんが立ち寄っていたという写真屋さんに偶然巡り合いました。三國さんも戦地から復員して、日本国内を放浪。家庭を持ちながらも、家を出て単身倉吉へ。数年を過ごされたと聞きました。ここで撮影された20代の三國さんの写真が映画会社に送られ、俳優・三國連太郎が誕生したというお話を伺いました。私も似たような境遇の役柄でしたから、三國さんに大きな力を頂いたような不思議な感覚でした。