永田町はイラク以上にやっかいな部族長だらけで…(笑)
――そうして足を踏み入れた政界は、それまで生きてきた自衛隊とはまったく違う世界だったのではないでしょうか。
イラクの部族長たちもワガママでしたが、永田町はそれ以上にやっかいな部族長だらけのような場所で……(笑)
自衛隊の根幹にあるのは、「事に臨んでは危険を顧みず~」という利他の精神、究極の自己犠牲です。一方の永田町は真逆で、ポストや選挙のための組織が欲しいという、どちらかと言えば利己の世界。
「オレが、オレが」という人が多く最初は戸惑いましたが、自衛隊の給料も法律も最終的に決めるのは政治です。自分のキャリアや経験を生かすため、外交や防衛、災害対応などをライフワークと定め、18年間活動してきました。
――現在、国政を離れて、永田町を「外」から見るとどう感じますか?
2026年現在、国際社会は「法の支配」から「力の支配」へとパラダイムシフトが起きています。ロシア・ウクライナ戦争は5年目に突入し、アメリカは国内法を使ってベネズエラの大統領を捕まえ、イランにも攻撃を仕掛けました。国連は全く機能していません。世界の安全保障環境が激変している時に、自分が国政の場にいないというのは非常に悔しいですね。
私は今、同盟の「サブスクリプション(サブスク)化」が起きていると言っています。アメリカのトランプ大統領は「課金に応じてサービスを提供するが、タダ乗りは許さない」というスタンスです。日本は日米同盟にタダ乗りして裕福になったのだから借りを返せと、安全保障と通商貿易が混在一体化しています。
もし安倍元首相が生きていたら、今回のイランやホルムズ海峡の対応も違っていたはずです。平和安全法制で積み残した「船舶護衛」の法改正も行い、任務遂行のための武器使用ができるよう法整備をしていたかもしれない。安全保障は今や、経済安全保障と一体で考えなければ守れない時代です。
(つづく)