2009年にテレビ朝日に入社し、情報番組などで活躍後、2019年に独立した宇賀なつみさん。自身の会社を立ち上げ、独自のペースで働きながら世界中を飛び回っている彼女が、過去3年間の旅の記録と心の軌跡を綴ったエッセイ『おもうがたび』(幻冬舎)を上梓した。
最終回となる第5回は、世界中の家具を買い集めて作った「自分だけの城」への思いに迫る。人生の後半戦をどう生きていくのか。【第5回/全5回】
世界中を巡ってきた彼女が、ひとつの決断をした。中古マンションの購入とリノベーションだ。これまで、各地を転々としているから家なんてこだわっても意味がないと思っていた彼女が、誰にも侵されることのない「自分だけの空間」を求めた。
建築家だった父に設計を依頼し、照明デザイナーの妹夫婦にも手伝ってもらい、自分好みの空間を作り上げる作業は、旅をすることに似ていたという。
「時代の違うものをあえて混在させることで、空間に奥行きが出ることも知った。インドの手織り絨毯やボルトガル製のカーテン、フィンランドの仕事用デスク。寝室には、アメリカのモーテルをイメージしたランプを取り付けた」
世界中のアンティーク家具に囲まれた空間は、彼女にとって「旅をしなくても世界を見つめることができる」特別な場所になった。地球という星で暮らしているという実感が強くなり、怖いものがなくなったという。