「寝付けないで泣いている赤ん坊を抱きかかえていると……」東出昌大が父の顔になるとき
自分が東京で暮らしているときには見えなかった、都会の不思議。それは、海外から日本を見たときにも感じるという。
「今年の夏、10日間ほどタイに行ってきたんですけど、日本……特に東京は特殊な街だと思いますね。世界では、“庭にいる鶏を潰して食べるのが当たり前”という人の方が多かったりもする。どっちがいいとか悪いとかいうことではないけど、自分は東京をそれほど好きではないのだと思います」
──便利な都会より、たとえ不便でも、自由がある山での暮らしを愛している?
「いうほど不便ではないですよ。本だって何だってAmazonで注文したらすぐに届くし(笑)。前回、THE CHANGEのインタビューを受けたころに住んでいた山小屋は携帯電話が圏外だったので、人と連絡を取るためには電波があるところまで降りなくちゃいけなかったけど、いまはそこから15分くらい下った、電波がある場所で暮らしているし。子どもが通える幼稚園も、小学校のスクールバスもあるから、その点も心配ないし」
子どもの話になると目を細め、パパの顔になる。そこで、少し踏み込んだ質問をしてみた。
──東出さんが「自分は父親になった」と自覚したのはどのタイミングですか?
「えーっ、どこだったんだろう……? 少しずつだったかもしれないです。ふとしたとき……例えば、寝付けないで泣いている赤ん坊を抱きかかえていると、“この尊い命がいま頼れるものは、私の腕だけなんだ”と思いがこみ上げてきて、自分は庇護者なんだという思いや、父親というものの輪郭(りんかく)がハッキリする、目からウロコが落ちる瞬間が何度も訪れたように思います。そして今回は……うん、ごく自然な形でお父ちゃんになった気がします」