ドラマから映画まで、さまざまな作品で存在感を発揮する柄本佑。2024年のNHK大河ドラマ『光る君へ』では藤原道長という大役を演じる。芝居を真摯に愛し、多くの役柄を魅力的に演じてきた柄本さんが語る「THE CHANGE」とは。【第4回/全5回】
ドラマ『ミステリと言う勿れ』(フジテレビ系)から映画『シン・仮面ライダー』まで、2022年から23年末までに映画7本、ドラマ6本に出演するなど、引く手あまたな俳優、柄本佑さん。
その演技が評価され、第40回エランドール賞新人賞を受賞した2016年から遡ること2,3年ほど前のことだった。
柄本「石倉三郎さんと呑み屋で飲んでいたときのことです。うちの父が石倉さんのことが大好きで、非常に仲良くさせてもらっていて。僕もそのとき、石倉さんからいっぱい話を聞いていて」
柄本さんの父といえば、日本を代表する名優のひとりである柄本明さん。
柄本「お酒も進んできたころあいで、石倉さんから“佑が出ている作品を観た”と言われたんです。パパパっと感想を言われて、おそらくそのときの僕があんまりだったんでしょうね。帰りがけにいただいた言葉が、そのときから今まで、ずっと忘れられないんです」
酔いが回ったゆるやかな足取りで出口に向かう石倉さんが、ふと足を止めた。そして、こう言ったという。
「佑、やりすぎずに逃げ道を作ることが、粋だよ」
柄本「そう言って帰られて。“かっこよ……!”と思いました」