『さよなら渓谷』『タロウのバカ』の鬼才・大森立嗣監督が、実際に起きた「少年による祖父母殺害事件」に着想を得て、長澤まさみさんを主演に放った衝撃作『MOTHER マザー』。同作で、長澤さん演じる母の呪縛から逃れられない息子役を演じた奥平大兼。奥平さんは、初めてのオーディションで勝ち取ったこの役でセンセーショナルなデビューを果たし、第44回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。また昨年はドラマ『最高の教師 1年後、私は生徒に■された』で、改めて大きな注目を集めた。まだ20歳にして大器の予感たっぷりの奥平さんが語るTHE CHANGEとは。【第3回/全4回】
実話をもとにeスポーツに熱中していく専門学校生たちの姿を描く『PLAY!〜勝つとか負けるとかは、どーでもよくて〜』。本作でeスポーツのビギナーである翔太を奥平さんが演じ、全国大会に出るために即席でチームを結成しようとする1学年上のeスポーツの実力者・達郎を鈴鹿(央士)さんが演じた。
「僕自身、eスポーツをすごく応援していたんです。シンプルにゲームが好きですし、こうした映画ができること自体がすごく嬉しかったです。そこに自分が関われるということで、二重に嬉しかったです」と素直に喜びを口にする奥平さん。
たしかに『PLAY!』はeスポーツを題材にした、爽やかな青春物語だ。しかし、ただそれだけの映画ではない。奥平さんが演じた翔太は、学校でも友達の前でも明るくふるまっている青年。金髪にピアスの一見、陽のキャラクターだが、実は家庭に問題を抱えている。
デビュー作『MOTHER マザー』で愛を知らずに母親の支配に耐え、陰惨な事件を起こしてしまう少年を演じた奥平さん。また、第72回ベルリン国際映画祭ジェネレーション部門に正式招待され、アムネスティ国際映画賞特別表彰に輝いた『マイスモールランド』では、初めて在日クルド人問題を知る少年を、藤井道人監督の『ヴィレッジ』では舞台である村の犠牲とも言える青年と、普段あまり光の当たらない人々や生活に目を向けるキャラクターを演じてきた。