『かもめ食堂』『めがね』にはじまり、昨年世に放った『波紋』と、人気と評価を得続けている荻上直子監督。堂本剛へのあて書きからスタートした最新作『まる』でキャストのひとりに名を連ねる吉岡里帆とは、脚本を担当した2017年放送のドラマ作品で出会っていた。今度は監督とキャストとして、久しぶりに再会し、タッグを組んだ。そんなふたりが語る「THE CHANGE」とはーー。【第4回/全5回】
――監督、前作『波紋』は、新作『まる』とはまた全く雰囲気の違う作品でしたが、2作品ともに、円、丸を感じます。監督はもともと“まる”に惹かれるのでしょうか?
荻上監督(以下、荻上)「“まる”に関しては思いつきなんです。今回の作品は、主演の堂本剛さんにあて書きしました。堂本さん自身がアーティストでらっしゃるから、アート寄りの線上にいる現代アートの人にしようと思いました。そこから考えていって、一生懸命描いたものが評価されるのではなく、あれこれ考えずにペロっと描いたものがすごく評価されてしまう展開がいいなと。それでペロっと描けるものってなんだ?となったときに、“まる”かなと。そこから調べて行ったら円相とか、ありがたい形だということが分かってきて。だから後付けです」
――堂本さん演じる主人公の沢田と同じアトリエで働く、後輩の矢島を吉岡さんが演じました。矢島も面白いキャラクターですね。
荻上「最初は新聞配達の人にしていたんです」
吉岡里帆(以下、吉岡)「え!全然違いますね」
荻上「苦学生みたいな感じで。ずっと前髪で目がかくれていて、ほとんど喋らないんだけど、急に思い切った行動に走って叫ぶ!みたいな、そういうギャップのある人がいたら楽しいなというところから考えていきました」