今作『かなさんどー』に名乗りを上げたのは、なんとSTARTO社の代表・福田淳氏

──いえいえ(苦笑)。本作は『演じる女』をベースに、娘さんの思いや親子の関係など、新たな展開を膨らませていった作品なんですね。奥田瑛二さんの主演により、’19年に公開された『洗骨』も、『born、bone、墓音。』を原案にして生まれた名作でした。そして今回の『かなさんどー』は、『洗骨』の大ファンだった福田淳さん(※)が「お金を出すから」と製作総指揮に名乗りを上げたことでスタートしたとか。
※福田淳・・・実業家。コンサルティング会社スピーディの代表取締役社長。現在はSTARTO ENTERTAINMENT代表取締役CEOも務める

「福田さんのポケットマネーなんですよ。会社のお金じゃないんです。私財をなげうったんです」

──そうなんですか!?

「そうなんですよ。ビックリでしょ。“あまり多くは出せないんですけど、会社の意思とか関係なく、僕が照屋監督に映画を作ってほしいので、僕がお金を出します”と。あのときはSTARTO社の社長に決まるより前のことですけどね。“自腹で映画のお金を”なんて言われると逆に恐ろしいし、“ウソじゃないの?”と思いますよね。見た目もうさんくさいし」

──(苦笑)。

「だまそうとしてるんじゃないのかな、とか思いながら、ロケハンとか動いちゃってたんです。だからお金も使い始めてて。大丈夫かなと思っていたらスタッフが“お金が振り込まれました”って。“本当だった”と。ありがたいことですよ。“監督のファンだから”って。もちろんそう言ってくれる方はたくさんいますけど、私財をなげうってくれるなんて。しかも“何作ってもらってもいいです。好きなようにやってください”って」

照屋年之(ガレッジセール・ゴリ) 撮影/冨田望