昨年40周年を迎えた劇団「WAHAHA本舗」の旗揚げメンバーであり、自身もベテランとなったいまも「マチャミ」の愛称で親しまれる俳優、タレント、コメディエンヌの久本雅美。ジャンルの垣根を越えて縦横無尽に走り続け、今年は自身“初”となるホームドラマ舞台にも主演している。そんな久本さんのTHE CHANGEとは――。【第2回/全4回】

久本雅美 撮影/有坂政晴

 WAHAHA本舗の看板役者としても、個人としても、テレビに舞台にと活躍が止まらない久本さん。そんな久本さんにもまだ挑戦していないことがあった。

「私、ホームドラマって初めてなんです」

 最新舞台『花嫁 ~娘からの花束~』で主演を務める久本さん。同舞台は数々の名作を生み出してきた名プロデューサーの石井ふく子さんが、直木賞作家としても知られる脚本家の向田邦子さんに依頼して、1977年にドラマとして初放送。その舞台版の最新作となる。これまでに時代設定を置き換えながら、再ドラマ化、舞台化が繰り返されてきたホームドラマである。夫の七回忌を済ませた片倉ちよのもとに縁談が持ち上がり、家族たちが揺れ動く。

――石井先生とのお仕事も初めてですね。

「先生は98歳でいらっしゃって、これまでにいろんな女優さん、俳優さんといろんなドラマや舞台をやってこられた。誰もが尊敬する方です。最初は大緊張しました。でも、“不安だ”と周りの方に言ったら、どなたも“めちゃくちゃ優しくて温かい、人を輝かせる人だし、何を聞いてもちゃんと答えてくれるよ”とおっしゃってくださって」

※石井ふく子・・・98歳にして現役のテレビプロデューサーであり、演出家。元TBSテレビのプロデューサーとして多くの名作を放った。代表作に『肝っ玉かあさん』シリーズ、『ありがとう』シリーズなど。今年も本舞台のほか、3月放送の山田洋次×石井ふく子、ドラマ特別企画『わが家は楽し』(TBS系)を手掛けた。