石井ふく子先生は家族のような存在

――演出の石井ふく子さんとは長いお付き合いになります。

「初めて先生とお会いしたのは、小学5年生の5月で、(NHK連続テレビ小説)『おしん』の直後に出演させていただいた東芝日曜劇場のドラマでした。『二人づれの道』(1983・TBS)という作品で、浜木綿子さんと親子役。そこからテレビや舞台、イベントも含め、石井先生には、いろんなところでお声をかけていただいてきました。私の今日があるのは先生のおかげですね」

――小学5年生からですか。

「初めてお会いしてから40年以上にわたってお世話になり、私の中では家族のような存在であり、一番親しくさせていただいている先生です。みなさんも慕ってらっしゃいますし、98歳のいまも現役でシャキッとして演出ができるなんて、本当にすばらしいことだと思います」

――本当にすごいです。

「演出方法もそうなのですが、先生はとても優しくて謙虚でいらっしゃる。周りには、いつもたくさん人がいらっしゃいます。見習うところがたくさんあります。先生のように年を重ねていけるのって、本当にステキなことだなと思っています」

 石井先生を尊敬し信頼を寄せる小林さんを、さまざまな作品で組んでいく後輩たちもまたステキだと見つめていることだろう。

(つづく)

小林綾子(こばやし・あやこ)
1972年8月11日生まれ、東京都出身。5歳のころより芸能活動を開始し、1983年にNHK連続テレビ小説『おしん』の主人公の少女時代を演じて、一躍、国内のみならず、海外でも知られる存在となる。『おしん』は実に80カ国以上の海外で放送されている。ほか主な出演作に大河ドラマ『いのち』、ドラマ『剣客商売』シリーズ、『渡る世間は鬼ばかり』(第4シリーズ)、連続テレビ小説『なつぞら』、映画『お終活 熟春!人生、百年時代の過ごし方』など。最新出演舞台は向田邦子作、石井ふく子演出の『花嫁 〜娘からの花束〜』。同作には、2012年のドラマ版、2016年の舞台版に続き3度目の出演となる。

●作品情報
松竹創業百三十周年『花嫁 ~娘からの花束~』
作:向田邦子
演出:石井ふく子
出演:久本雅美、羽場裕一、小林綾子、丹羽貞仁、上脇結友、瀬戸摩純、石原舞子
製作:松竹株式会社