大人気ドラマ『最後から二番目の恋』シリーズ(現在放送中のドラマは『続・続・最後から二番目の恋』・フジテレビ系)で、昭和の香りがする“長倉和平”を好演中の中井貴一が、舞台『先生の背中〜ある映画監督の幻影的回想録〜』で演じるのは、昭和の名監督・小津安二郎をモデルにした主人公。昭和・平成・令和を生きる俳優・中井貴一のTHE CHANGEとは──。【第4回/全4回】

昭和のスター・佐田啓二の長男としてこの世に生を受け、19歳のとき、父の17回忌でスカウトされ、父親と同じ道を歩み始めた中井貴一。
テレビドラマ『ふぞろいの林檎たち』(1983年・TBS系)で注目を浴び、NHK大河ドラマ『武田信玄』の主役を演じたのは、20代の終わりだった。そして、コメディからシリアスまで、時代劇から現代物まで、映画・テレビ・舞台に欠かせない俳優となっていくなかで、忘れられない出来事があるという。
「39歳のころ、役者というものに迷いを感じたことがありました。役者とは何だろう……。歌舞伎や能、狂言、文楽といった日本の古典芸能を見て、役者のルーツはどこにあるのだろう? と、小難しいことを考えていました」