日本人は中井貴一ひとりきりで全編中国語。大きなプレッシャーの中での挑戦だった

 そんなとき、中国映画の出演オファーがある。

「中国とアメリカの合作でした。もし日本と中国の合作だったらお断りしていたと思います。日本から参加するのは僕だけだと聞いて、そこで自分がどんな精神状態になるのか試してみたいと思いました」

 映画『ヘブン・アンド・アース 天地英雄』は2001年の9月に新疆ウイグル自治区でクランクイン。中国語はほとんどわからないため、セリフはすべて丸暗記するしかなかった。

「覚悟して……というか、自ら望んで行ったわけですけど、想像した以上にしんどかったですね。契約書には“7日間のオフ”と記されていたけど、日本に帰るのに3日かかるんですよ。往復で6日だから、帰ったとしても1日しかいられない。だから、結局は行きっぱなしでした」