昨年40周年を迎えた劇団「WAHAHA本舗」の旗揚げメンバーであり、自身もベテランとなったいまも「マチャミ」の愛称で親しまれる俳優、タレント、コメディエンヌの久本雅美。ジャンルの垣根を越えて縦横無尽に走り続け、今年は自身“初”となるホームドラマ舞台にも主演している。そんな久本さんのTHE CHANGEとは――。【第3回/全4回】

久本雅美 撮影/有坂政晴

 大阪府出身の久本さん。高校卒業後の進学も大阪府内の短大だったが、2年次のときにアナウンサー養成所に通い始める。そこでの出会いが久本さんを人生の転機へと繋げていった。

「この世界に入ったことが、やっぱり自分にとっての大きなチェンジです。とはいえ、それまで演劇を観たこともないし、興味もなかったんです」

――当時、将来は何をしようと考えていたのですか。

「母親からはあなたはOLには向いていないから、何か考えたほうがいいとアドバイスはもらってました。たぶん私を見ていて、9時から5時で働くスタイルは無理だなと思っていたんだと思います。じゃあ、何があるかと思って自分のしていたことを考えると、小学校のときから、自分でコントを作ってみんなでやったり、人を集めては“こんなことがあった、あんなことがあった”と話して笑ってもらったりしていました。三者面談では担任の先生に“久本は進学するか、吉本に行くか。そのどちらか”と言われてました」

――先生から。そうなんですね。

「とにかくみんなに笑ってもらうのが好きでした」

――地元が大阪ですし、先生の言う吉本に入るという選択肢も志望先に挙がりそうです。

「それはなかったです。吉本新喜劇は好きでテレビで見てましたけど、将来自分が漫才をするとか吉本新喜劇をやっているとかのイメージが湧かなくて。おしゃべりは好きなんだけど、お笑いとは違う。何か活かせるような仕事はないかと考えていくと、ディスクジョッキーかなと。当時は深夜放送のラジオで、しゃべって曲をかけてというディスクジョッキーのスターがいっぱいいたんです」