老いに対して新鮮な感覚がある

ーーカルチャーシーンを先導してきた方がそういった話をされるのは、後進の世代にとっては結構ショッキングですね(笑)。

ひうら:そもそも男性はそういう会話、「自分のことを開示するコミュニケーション」があまりないのかなと、夫の話を聞いていても感じることはあって。

ガビン:職場の人たちと呑みにいくと、やっぱり仕事の話が中心になったりして、あまり自分の内面や、身体の変化を話すことはなかったかも。特に男同士だとあまり出なかった。僕が率先して老いについての話をすることで、僕の周りは比較的そういったことを話すモードになったと思うけど。

ひうら:「あの人には老いの話をしても大丈夫だ」みたいな(笑)。

ガビン:別に僕もカウンセラーではないから、話を聞くことしかできないんですけどね。それに、そういった話は「弱音」だと感じる人もいたのかも知れない。それは世代的にも。

ーー 一種の「男らしさ」の呪縛というか。

ひうら:でも、弱音の出し口が生まれたというのは良い変化ですよね。

ガビン:逆に僕自身、自分の心身に無頓着だったことで、老いに対して新鮮な感覚があるんだと思う。妻にも「すごく新鮮な驚きとして書いてるけど、女性はみんな知ってますよ。手がカサカサとか、そんなの常識だからね」と(笑)。

ひうら:女性は天気の話ぐらいの感じで、老いにまつわる話や、「自分の話」をしますからね。経験したことを聞いて欲しい、話したいという気持ちがあるのかも。子育てでも、先輩ママってすごくいろいろな経験を教えてくれるんですよ。そういうコミュニケーションの延長に、女性同士の老いの話があるのかも知れないですね。