「本当に先が見えなくて、落ち込んでいたんです」と振り返る時期も
──宙組のトップ就任を打診された際、最初は断り続けていたと過去にもお話しされていました。
「歴史に残ることなので軽々しく受ける訳にはいかないと悩みましたし、もちろん重圧も感じました。私よりも上級生の方がたくさんいらっしゃいましたし、2番手としてもほとんど経験のないままでしたから、それだけでも稀です。他のトップさんが経験されることもしないままで、しかも新しい組のトップだなんて、普通でないことづくしです」
──それでもトップを引き受けることを決意されました。実際、トップ時代に意識されていたことはなんでしょうか?
「“道なき道を作らないといけない”と思ってきました。組の雰囲気も個性も、他組から来た人たちで何もかもゼロから作っていった日々でしたから。
例えるなら、山道を歩いていても、普通なら整えられた道を行くところを、雪が積もっていたりして全部自分で切り拓いていくような感覚です。退団する日まで“何もないところを歩き続けたな”という気持ちでした」
──その日々を振り返って、姿月さんの誇りや人生の糧になっていることを挙げるなら?
「今、この世で生きている“初代トップスター”は私だけです。他の組では半世紀以上前に先輩方が作ってこられたことを、私も経験して後輩たちにつながっていて。そして退団した後もこうやって自由に歌っていける土台になったのなら、誇ってもいいのかなと思います」