日本映画全盛期を代表するスター女優のひとりとして、東映在籍中60本以上の作品に出演してきた三田佳子さん。未だ挑戦し続ける彼女のTHE CHANGEとはーー。【第2回/全2回】

三田佳子 撮影/河村正和

 今回の映画『お終活3 幸春!人生メモリーズ』では、認知症を患う女性・加藤豊子を演じました。最初に考えたのは、「あまりリアルなおばあちゃんを演じない方がいいだろう」ということです。スクリーンが大きいですから、本当にリアルな認知症の苦しさばかり見せてしまったら、観ているお客さんが苦しくなってしまう。映画全体が笑って泣けてという明るいトーンですから、私の役も同じ方向に引っ張った方がいいと思って、香月秀之監督やプロデューサーの方々に相談したら、それでいきましょう、となりました。

 ウィッグも、いかにもおばあちゃんとわかるものをあえて選んで、かわいいおばあちゃんでいこうと決めました。カメラマンさんが「お母さん、かわいいよ」と言ってくれてね、ますます調子に乗って(笑)。認知症になっても、こんなふうに生きていける、そう思ってもらえる役にしたかったんです。

 現場では、年齢的に私が上になります。スタッフには最初に「何でも言ってください、遠慮しないで」とお願いしました。なので「三田さん、そこでじっとしていてください」とか、ちゃんと言ってくれました。昔の女優というのは、みんなの前でトイレに行ってはいけないとか、こういう言葉は使ってはいけないとか。本当にいろいろな不文律があって「この世の人でない」といった存在として扱われていました。でも、66年やってきますとね、そういうものはだんだん関係なくなってきます。若いスタッフとも飾らずに現場にいられるのは、年を重ねた分、得をした部分かしらね。