1971年に演劇活動を始め、1980年代から独自のスタイルで“一人芝居”を確立。1981年に『お笑いスター誕生!!』で金賞を受賞し一気に知名度を上げたイッセー尾形さん。「年齢を重ねてきたからこそできる表現がある」と語る彼のTHE CHANGEとはーー。【第2回/全2回】
いわゆる一般的には、1981年に『お笑いスター誕生!!』で金賞をいただいて、広く知っていただけるようになったのかなと思います。まあ、金賞じゃなくてグランプリが欲しかったですが(笑)。あの場でも僕はキャラクターを作って出ていました。「自分が出ている」感覚はなかった。最初の一瞬、「この人はこういう人物です」とお客さんに伝えるための、いわば消える仮面をつけて出る。それさえあれば、あとは何をやってもいい。
今では俳優として映像作品にもたくさん出させてもらっていますが、最初にテレビドラマに出始めた頃は、そうした演技でも見た目を変えていました。そしたらね、ディレクターが飛んできて「変えすぎだ」と(笑)。だから徐々に徐々に、素顔に見えるようでいて、何かを作っている、というやり方になっていきました。だから今でも素顔に見えて、何か作ってあるんですよ。舞台で女性を演じることもありますが、あれも“仮面”は一瞬でいいんです。一瞬「この女性はこういう人です」と伝えられれば、次の瞬間からお客さんの興味は「この人は何をやりたいんだろう」に変わっていく。
創作と表現、どちらが好きかと問われたら、創作が先です。創作が好きだから、表現もしなきゃとなる。創作というのは予想ができます。こういうものを作りたい、というイメージがあって、自分の中で完結している。ところが表現は他者が参加してくる。舞台では、お客さんがどこを見ているかわかりません。細かいところを見る人もいれば、どうでもいいと思っていたところに反応する人もいる。こちらの意図とまったく違う受け取り方をされることもある。表現って面倒くさいんですよ(笑)。