「母と同じ苦労なんだ』と思うと、嬉しかった」

 自身が65歳の2026年10月26日(誕生日が1960年10月27日)までに小説を世に出すには、その半年前には第1稿をあげる必要がある。まずは、思いついたシーンや、登場人物の会話などを、片っ端から原稿用紙に書き留めた。

「最初から小説仕立てで。実は母もそうで、ミステリーを書く場合はトリックのメモとか人物相関図を作る作家さんが多いそうですけど、母はいきなり書き始めていました。そして『アイデアはどんどん浮かぶし、いくらでも書くことはできるんだけど、最後に時系列やつじつまを合わせるのが大変なのよね』とよくこぼしていたんです。それを聞いていたときは、どういうことなのかさっぱりわからなかったけど、今回よーくわかりました(笑)」

 『祇園の秘密 血のすり替え』は、歌舞伎と祇園というふたつの世界を終戦直後から現代まで紡ぐ、ミステリー。登場人物の年齢や、出来事の時系列に破綻が無いようにするのは大変な作業だったという。

「でも、基本的にパズル的なことは嫌いじゃないし、なんといっても『これは母と同じ苦労なんだ』と思うと、嬉しかったですね」

[作品情報] 
『祇園の秘密 血のすり替え』
発売日:2026年6月17日
著者:山村紅葉
価格:1,980円(税込)
出版社:双葉社
公式サイト https://www.futabasha.co.jp/book/97845752490020000000