「このミステリーがすごい!」第1位をはじめ、さまざまな文学賞を受賞し、累計発行部数60万部を突破した、作家・米澤穂信のベストセラー小説『黒牢城(こくろうじょう)』(6月19日公開)の映画化でメガホンを取るのは、海外でも評価が高い監督・黒沢清。主演は、上品な色気を纏う俳優・本木雅弘。初タッグとなるふたりのTHE CHANGEとは—!?【第1回/全3回】

黒沢清 本木雅弘 撮影/有坂政晴 スタイリスト/田中伸紀

 映画『黒牢城』は、織田信長に反旗を翻して有岡城に籠城した武将・荒木村重が、捕えて地下牢に幽閉した織田方の天才軍師・黒田官兵衛の知恵を借りて、城内で起こる怪事件の謎を解くという、極上の時代小説であり、ミステリー、心理サスペンス小説を映画化したもの。
これまで数々の名作映画を世に送り出してきた黒沢清監督は、意外にも本作が初めての時代劇。そして、主演の本木雅弘は、初の黒沢作品出演となる。

──おふたりは、荒木村重という武将にどのようなイメージを抱いておられましたか?

黒沢清(以下、黒沢)「僕はそれほど歴史に詳しくはありませんが、荒木村重については何ヶ月か籠城してとっとと逃げ出した卑怯な武将ということで、以前から興味はありました。そんなわけで米澤穂信さんの小説を手に取ったのですが、これがすごくおもしろかった。そして、最後に逃げていく村重に説得力があり、かつすごくカッコよかったんです。彼は悪口を言われがちだけど、その生き方は戦国時代……いや、今の価値観から言っても、斬新で理想的だったことを原作小説から読み取りました」

本木雅弘(以下、本木)「下剋上の時代にあって、村重もそうして上に登った人間だけれども、上に行けば行くほど追い詰められるという、戦国時代のシステムの矛盾みたいなものを、身に染みて理解した人だと思いますね。ある意味異常なあの時代において、ごく当たり前の人間性を大事にした人なのではないかと」