劇中での本木雅弘さんと菅田将暉さん「言ってみればシャーロックホームズとワトソン」

──監督からご覧になって、本木さんの中に村重的なものは存在しているように見えますか?

黒沢「さっき、本木さんは『村重は揺れ動く』とおっしゃいましたが、僕は本木さんの中にも、この『揺れ』を感じます。守るべきものは全部守っていこうという思いと、壊してもかまわないという思いがせめぎ合うというか、ある種の気持ちのいい矛盾を抱えていらっしゃるように見える。それが村重的かどうかはわかりませんけど、そういうものを根底に持っていらっしゃるというのを感じました」

──それは撮影を通して?

黒沢「はい、感じました」

本木「確かに、わたしは矛盾の塊で(笑) 古めかしい考え方をまといながらも、どこかはみ出さねばと踠(もが)く、プライベートでも役者としても、その狭間で右往左往しているようなところがありますね」

──『黒牢城』は豪華キャストも魅力のひとつ。特に、菅田将暉さんが演じる黒田官兵衛と荒木村重の関係が興味深かったです。幽閉している側とされている側が謎解きをする……というのが斬新で。

黒沢「言ってみれば、シャーロックホームズとワトソン。それを本木さんと菅田さんがやるのだから、面白くないわけがない」

本木「台本6ページくらいの長いシーンがいくつかあったのですが、器用さで言えば菅田さんが上なんですよ。わたしは還暦というのもあるけど、セリフ覚えが悪いし、懸命に覚えてもどんどん抜け落ちるような状況で、とにかくセリフを全部言えたらゴール! みたいなレベルで格闘していました(苦笑)」

黒沢「長回しが多いので大変だったかと……」

本木「だからこその、集中力と緊迫感が生まれる撮影スタイルでもありました。でも、菅田さんとのやりとりの中で、一度だけ一発でうまくいったシーンがありましたね」

黒沢「セリフだけじゃなく所作もたくさんあって難しいシーンだったのですが、素晴らしかったですね。『カット! OK!』って言ったら、菅田さんがハイタッチしてくださって」

本木「してましたね」

黒沢「で、本木さんは……と見たら、頭を抱えていらっしゃって。やっぱりハイタッチはしないんだ、と(笑) しかし、今のお話だと達成感を持ってくださったようで安心しました」

本木「もちろんです。刺激的な作品に参加させていただき本当に感謝しています。ありがとうございました」

黒沢「こちらこそです」

©米澤穂信/KADOKAWA ©2026映画「黒牢城」製作委員会

▪︎作品情報
映画『黒牢城』
6月19日(金)全国公開中

原作:米澤穂信『黒牢城』(角川文庫/KADOKAWA刊)
監督:黒沢清
出演:本木雅弘、菅田将暉、吉高由里子、青木崇高、宮舘涼太、柄本佑、ユースケ・サンタマリア、吉原光夫、坂東龍汰、近藤芳正、矢柴俊博、木原勝利、河内大和、吉岡睦雄、上川周作、前田旺志郎、坂東新悟
荒川良々、渋川清彦、渡辺いっけい/オダギリジョー
配給:松竹
コピーライト:©米澤穂信/KADOKAWA ©2026映画「黒牢城」製作委員会
公式サイト:https://movies.shochiku.co.jp/kokurojo-movie/

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