「このミステリーがすごい!」第1位をはじめ、さまざまな文学賞を受賞し、累計発行部数60万部を突破した、作家・米澤穂信のベストセラー小説『黒牢城(こくろうじょう)』(6月19日公開)の映画化でメガホンを取るのは、海外でも評価が高い監督・黒沢清。主演は、上品な色気を纏う俳優・本木雅弘。初タッグとなるふたりのTHE CHANGEとは—!?【第3回/全3回】

黒沢清 本木雅弘 撮影/有坂政晴 スタイリスト/田中伸紀

 カンヌ国際映画祭、ヴェネツィア国際映画祭を始め、海外でも評価が高い黒沢清監督が「近年読んだ小説の中でもっとも面白く、自分の手で映画化したいと思った」ことから映像化が実現した『黒牢城』。長いキャリアの中で、本作が時代劇初挑戦だという黒沢監督が、監督という仕事への覚悟が決まった瞬間を聞いた。

──黒沢監督は、大学生のときに8ミリ映画を撮り始めて以来、ずっと映画の世界で生きてこられましたが、いま振り返って一番大きな転機、THE CHANGEを教えていただけますか?

黒沢清(以下、黒沢)「うーん、そうだなぁ……。なにしろ50年くらいやっているからね……」

──おそらく、たくさんあると思いますが、映画監督としてひとつ挙げるとしたら?

黒沢「ささやかな話しなんですけれど、若い頃、映画の仕事が全然なくてテレビの仕事をしていたんですよ。当時、関西に宝塚映像という制作会社があって、そこで30分の子ども向け関西ローカルのドラマに携わっていたことがあります。収入を得るためと割り切って受けた仕事だったのですが、小津安二郎監督の助手をやっていたという人がいたりして、ある意味、昔の撮影所の体質がまだ残っているようなところでした」