意外な本音「私、オーディションに受かったことがないんです」

 桜井さんにとって、人と人との“つながり”は非常に大きな意味を持っている。

「今回の『死神バーバー』も、そもそもは私が出演した舞台『138億年未満』(2024年)をプロデューサーの方に観ていただいたことがきっかけでお話をいただいたんです。さらに次回作も、昨年の舞台『シャイニングの女たち』がご縁で決まりました。舞台での経験が、次の新しい仕事へと繋がっていく流れがずっと続いているんです。今回の『死神バーバー』での出会いも、またいつか素敵なご縁に繋がってくれたら嬉しいですね」

 ここまで順調なキャリアの軌跡を聞かせてくれたが、意外な本音もポロリとこぼした。

「私、オーディションに受かったことがないんです。オーディションって直接会場に行って、自分のお芝居を見てもらう場所ですよね。でもそこで役を掴めたことがないから、『私は直接見てもらう形だとダメなんだ』と落ち込んでいた時期もありました。でも、舞台での私のお芝居を観てくださった方が次の仕事に呼んでくださる経験が重なって、『ただ単に、その時の作品と私が合っていなかっただけなんだな』と、少しずつポジティブに捉えられるようになってきました。いつかはオーディションでも、自分の力で役を掴み取れる日が来るはずだと信じています」

──これからのご活躍がますます楽しみです。ここまでお話を伺っていると、桜井さんはとても前向きな方だなという印象を受けました。

「それは今、“桜井日奈子スイッチ”が入っているからです(笑)。私の根っこはネガティブですし、極度の人見知りなんですよ。大勢でワイワイ楽しむのも実は苦手で、人と話すこと自体に怖さを感じることもあります。普段、自分から喋らなくていい場面では、なるべく気配を消して静かにしていますね。誰にでもすぐに心を開けるわけではなくて、心を開ける相手のストライクゾーンがすごく狭いんです。だから、私と同じくらい『心の根っこが暗そうだな』って感じる人には、妙な親近感が湧いて心を開けちゃったりします(笑)」

桜井日奈子 撮影/有坂政晴 ヘアメイク/Hitomi(Chrysanthemum) スタイリスト/有咲