ヨットマンとしては、太平洋の次には「世界一周」しかありません
学生時代に「メメント・モリ」 (死を想う)という古代ローマのラテン語のフレーズに、相当影響された時期があります。人間はいつか死ぬのだから、今こそ精いっぱい生きる、遊ぶ、ということです。30歳になったとき、会社の同僚に「辛坊さん、20代で死ぬと言っていたのに、30歳ですよ」とからかわれて、上目づかいで睨み返し、「予定が外れたよ」と答えました。奇妙な人生観かもしれませんね。
70歳になったこの春には、次の冒険へと出航していてもよかったのですけれど……。ヨットマンとしては、太平洋の次には「世界一周」しかありません。南米のホーン岬、アフリカの喜望峰を夢見ると、ああ寝てはいられない。でも必須の休暇は1年間。太平洋往復の5か月間と比べても、なかなか踏み出しにくい部分もあります。
今は瀬戸内の有人島航海をやっています。今年は入れ替えた船がまだ到着していませんが、岡山あたりのハーバーから仲間と同乗して、週末に帆走しているのです。国内にある400ほどの有人島を全部制覇しようと、わくわくしているところですね。
人生は大手企業に就職したけれど、好き放題に仕事と趣味をして、満点パパと言われると照れ臭い。でもまあ、悪くない航海だったと思っています。
辛坊治郎(しんぼう・じろう)
1956年生 鳥取生まれ埼玉育ち。早大卒後、1980年に讀賣テレビ入社。『ズームイン!!朝!』や『ウェークアップ!』などの看板番組でキャスターを務める。2010年に退社してフリーのジャーナリストに転身。テレビ、ラジオ、出版等を通じてジャーナリストとして活躍。2021年にヨットで太平洋単独無寄港往復横断に成功。スノボー歴も40年に。現在はニッポン放送の「辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!」などにレギュラー出演中。