デビューは9歳。幅広い役をこなす確かな演技力でドラマに映画にと引っ張りだこ、ハスキーボイスは声優としても重宝される女優・伊藤沙莉さん。7月31日公開の『映画クレヨンしんちゃん 奇々怪々! オラの妖怪バケ~ション』では、九尾の狐の妖怪・やこ役を熱演した。女優・ナレーター、『NHK紅白歌合戦』の司会などマルチに活躍する伊藤さんのTHE CHANGEとは。【第2回/全3回】

伊藤沙莉 撮影/三浦龍司

 伊藤さんは、自他ともに認める『クレヨンしんちゃん』ファン。アニメや映画を見る前からコミック版を繰り返し読んでいたといい、好きなキャラクターを聞くと、野原一家やかすかべ防衛隊といった主要メンバーをはじめ、埼玉紅さそり隊、地獄のセールスレディ・売間久里代、かすかべ書店の店長など、コアなキャラクターの名前も次々と飛び出した。

 語り出したら止まらない様子からは、いかに伊藤さんがクレしんワールドの“住人”として生きてきたかが垣間見える。

 声優を務めた『映画クレヨンしんちゃん 奇々怪々! オラの妖怪バケ~ション』では、家族のあたたかみが描かれている。

 本作のストーリーは野原一家が父・ひろしの故郷である秋田へ帰省するところから始まるが、何気なくもあたたかいふるさとの景色は、伊藤さんにとっても「忘れられない、忘れたくない大切な記憶」だという。

「家族全員でいちばん長い時間を過ごした団地での風景は、鮮度高く、あたたかい状態でずっととっておきたいですね。食卓と寝る部屋が同じで、申し訳程度に仕切りがあるぐらいの狭い空間なんですけど、学校から帰ってきてご飯を待っている時間とか、家族みんなで食卓について喋りながらご飯を食べる時間とか……もう戻れないし、それを何年できてないんだろうと思わされることも含めて、尊い思い出です。
 それこそしんちゃんの映画って、自分の中にある大事な記憶が呼び覚まされるような懐かしさや、家族や友達同士の絆が大切に描かれているじゃないですか。ひとりひとりにちゃんとドラマがあって、私も小さい頃からいろんなものをもらっている感覚がありますね」

──その団地は、短いスパンで差し込まれる記憶が生まれた場所……?

「それは忘れたいです(笑)!」