得意だった台詞覚えの“今”「何回も何回も声に出して読んで、身体全体にじっくり染み込ませていく」

 今回のテーマは、僕の「下積み時代の記憶」について。いまだからこそ笑って話せる、僕の原点にあるいくつかの記憶。お付き合いいただけたら嬉しいです。

 ありがたいことに、この仕事を始めてから「もう続けられないかも」と本気で思ったことは一度もないんです。でも、お芝居とはまったく別の次元で、人生で一番きつかったことがあります。

 それは……学生時代の勉強。特に、毎日提出が義務付けられていた、書き取りノートのような課題が、本当に本当に苦手で(笑)。

「台本を覚えるのは得意なのに?」って思いました?

 僕って、短期記憶がめちゃくちゃ得意なんですよね。テスト直前の休み時間、5〜10分間で、バーッと教科書の内容を詰め込んで、そのままテストに臨んでクリアする、みたいなタイプだったんです。覚えるというより、ページを“写真を撮る”ようにして頭に記録する感覚に近かったかもしれません。

 膨大な台本を、稽古初日までに全部頭に入れていって、周りを驚かせたこともありました。さすがに自分でも「これって才能かも?」なんて思っていましたね(笑)。

 でも、不思議なもので、最近はめっきりその能力が衰えてしまって……。

 いまはもう、何回も何回も声に出して読んで、身体全体にじっくり染み込ませていくような、地道な方法でしか覚えられないんです。

 なんでなんだろう。考えることが物理的に増えて、脳の容量が足りなくなったのかな。それとも……サウナが大好きなんですけど、あの熱さで脳がリセットされて、記憶が全部抜けちゃってるのかな(笑)?