「戦争ほどバカらしいものはない」国旗損壊罪は「いずれ戦争に結び付く可能性も…」
──高市首相と討論したように、靖国には否定的なのかと思っていました。
「靖国自体はあってもいいし、その評価も自由にできた方がいいけど、政治家が参拝することはないと思っている。なぜ、わざわざアメリカやアジアとの関係が悪くなるようなことをするのか。A級戦犯合祀の問題があるし、合祀以来、歴代天皇が参拝していないのに、政治家が参拝するのはどうなんだというのが僕の立場だ」
国寿を迎え、戦後80年以上経ってなお、人生最大の「CHANGE」は敗戦なのだ。身をもって体験したからこそ、戦争について語る言葉には理屈を超えた力が宿る。
田原総一朗 撮影/冨田望
「戦争ほどバカらしいものはない。まず、自由がなくなる。人が死ぬ。楽しいことができなくなる。だから戦争には絶対に反対だ。誰しも楽しく生きたいはずだけど、人を殺すなんて楽しいはずがないし、戦争が起きると生活していて楽しいこともなくなる。
僕は、国の方針っていうのは、曖昧な方がいいと思っている。シャープにするほど対立が深まり、反対勢力が先鋭化することも起こり得る。日本は自衛隊を軍隊にしていないけど、この曖昧さも、日本のひとつの知恵だ。今は自衛隊を軍隊にしようとする動きもあるけど、憲法で自衛隊を軍隊と認めたら、軍隊が特権階級になる。そうしたら、自由な発言もできなくなるかもしれない」
自身の戦争体験から軍国主義に強く反対する田原氏。一方で、高市政権はタカ派色の強さが否めず、先月に閉会した国会では、高市首相自ら肝いりと掲げた国旗損壊罪法案が可決・成立。8月13日より施行された。同法は運用の曖昧さなどから今なお議論が絶えず、田原氏も問題点を指摘する。
「国旗をわざわざ破る必要はないが、それに罰則を設けて、破ったら逮捕されるというのはバカげている。1999年に制定された『国旗・国歌法』では、日の丸を国旗、君が代を国歌と定めたけれど、掲揚義務や罰則は設けなかった。これが“戦略的曖昧さ”だ。日の丸を国家の象徴にし、刑罰を設けて愛国心を強要すれば、いずれ戦争に結び付く可能性も否定できない」