「がん、不妊治療を経て、見える世界が広がりました」

 がん、不妊治療を経て、見える世界が広がりました。子育てでイライラしちゃう時もあるだけど、私は子育てという経験をさせてもらってるんだっていう気持ち。ポンって産めてたら、そこまで思わなかったかもしれません。ただ、友達は今でも絶滅の危機で、ママ友とか2人ぐらいしかいない。LINEの“ともだち”で、人間は多分10人ぐらい。ほぼほぼお店です(笑)。

 がんになっても人生は続きます。私が地球からはけるまでにやりたいのは、単独ライブですね。がん治療が一旦落ち着いた時、仕事への本格始動として単独ライブを企画していたんですけど、コロナ禍やら妊娠やらで飛んじゃった。だって私、一応芸歴28年ぐらいあるのに、1回しか単独ライブやってないんですよ。50年に1回というレア度をアピールしたら、みんなご祝儀で来てくれそうでしょ(笑)? 

 10年前にがんがわかった時の自分に声をかけるとしたら、「“何もできない”と思わなくていいんだよ」ということです。できないことを考えない。ピンチが来た時、バタバタしても沈んでいくんですよね。溺れている間は恐怖と苦しさしかないけど、力を抜いたほうが浮いて、見たことのない景色が見えることがある。前だけ向いていれば大丈夫。

 がんになった時は運が悪いと思ったけれど、今でも生きていて、子どもまで産んだと考えると、運は残ってたのかな。でも、なぜ自分ががんになるんだろうって考えた時、私の答えは「人間だから」でしたね。結局、人間だから誰しもなる可能性があるということです。

だいたひかる 撮影/河村正和