2020年6月、中咽頭がんを公表したお笑いコンビ・ペナルティのワッキーさん。壮絶な治療を乗り越えることができた背景には、病院で出会ったがんサバイバーの人たちから気付かされたこと、そして思わぬ人たちからの「応援」があった。闘病で学んだワッキーさんのTHE CHANGEとは。【第1回/全3回】
今もがん治療による後遺症が2つ残っています。唾液が通常の3割ぐらいしか出ないことと、味覚が7割ぐらいしか感じない。どこまで戻るかは個人差があるそうですが、僕の場合もう“頭打ち”だと思うようにしています。これ以上は期待していない。だから水をしょっちゅう飲まないと、めっちゃ噛むんです。具体的には、「のの」とか「たた」とか、2つ同じ言葉が続くのが厳しいですね。
僕が中咽頭がんだと確定するまでには、時間がかかりました。ある日、何気なく首元を触っていたら、親指大のぽこっと盛り上がっている部分がある。1週間後にはしこりが2つに増えていたので、最初は耳鼻科に行きましたが原因がわからず、大学病院を紹介してもらって調べたら、がんだということがわかった。しかも転移している。その時、原発はまだ不明だったのですが、少なくとも「がん」+「転移」とダブルで突きつけられ、恐怖のどん底に突き落とされました。
「いや、そんなわけないでしょ」
大学病院は車で10分の場所でしたが、家にたどり着くまで2時間かかりました。何が起こっているのか受け入れられなくて、ハンドルは握っているんだけど、何度も何度も停まっては呆然として、なかなか前に進めないんですよね。
当時、子供たちは小学1年生と6年生で、家での僕は「元気で面白いパパ」。それを崩すことができず、妻にも言い出せず……。表向きはケラケラ笑いつつ、心の中では「死ぬかもしれない」とずっと怯えていて、ようやく伝えられたのはがんだと診断されてから1か月後のことです。