「血がダラーッと出てすごく痛かった」
原発がどこなのかが確定したら家族に言おうと思っている間に、どんどん時間が過ぎてしまいました。結局、のどの組織を調べても、全身のPET検査でも見つからず、最終的に「原発不明がん」ですと。
家族に「がんなんだ」と告白すると、妻は「そうなんだ。時々病院へ行ってたから、おかしいなと思ってたんだけどさ」と、カラッと言う。深刻にならないでくれたのは良かったですね。そして次の診察で、初めて僕と一緒に来た妻は、僕が何か言う前にいきなり「先生、セカンドオピニオンしたいです」と言いました。他のお医者さんの意見を聞いてみたいと夫婦で話していたけれど、あまりにも単刀直入だったので、僕の方がびっくりです。僕としては、セカンドオピニオンは「あんたじゃダメだから他の先生行くよ」と言ってるようなものかと思って切り出しづらかったんですけど、先生は「じゃあ一緒に次の病院探しましょう」と言ってくれました。
後から聞くと、お医者さんとしてもセカンドオピニオンは歓迎なのだそうです。モヤモヤを抱えたまま診察を受けられる方がイヤだとのこと。そこで先生はがん専門の病院、そこのM先生に見てほしいという紹介状を書いてくれました。
がん専門の病院でも、原発は見つからない。そのまま手術の日取りを決めようとしていた時、M先生が「最後にもう1回だけいいですか」と言って、初登場のメスを手にすると、喉の奥の方の肉をぐりっと取りました。血がダラーッと出てすごく痛かったんですけど、検査すると「中咽頭がん」だということが判明。やっと原発が確定しました。
ちなみに僕のがんは転移していたので、いわゆる「早期発見」ではないんです。普通のがんならステージ3~4になるところ、中咽頭がんと放射線治療の相性がすごく良く、90%以上の確率で治るというデータが出ているので、「ステージ1」とされました。治るかどうかで、そのステージが変わるなんて変な話だと思いますが……。