「僕、絶対治して試合出るんで…」今は亡き青年と交わした約束

 俺にできることは、誰かを少し笑顔にすること、心を少しほぐすこと。「病棟を明るくするぞ計画」です。先生や看護師さんからも「どんどんやってください」と後押ししていただけたので、様子を見ながら実行しました。病棟を明るくするといっても、たくさんの人を集めて何かネタをするわけではありません。おじいちゃんと将棋したり、いつも外を見ている中学生か高校生ぐらいの車椅子の女の子にあやとりを教えてあげたり。個人対個人の小さな活動です。あやとり、実は得意なんですよ。

 とはいえ抗がん剤の副作用が辛い時には、「俺はここを明るくするために来ているのに……」と落ち込みもしました。その頃出会ったのが、同じフロアに入院していた大学生のカイシュウ君です。彼がサッカーをやっているという話から、サッカー繋がりですぐに仲良くなりました。

 カイシュウ君は足の付け根か何かに腫瘍があって、松葉杖をつきながら一生懸命リハビリに取り組んでいました。「僕、絶対治して試合出るんで、ワッキーさん見に来てくださいね」と言うから、「俺も治して舞台出るから、その時は絶対ネタ見に来てよ」と約束して。カイシュウ君は抗がん剤の影響で髪も全部なくなっていて……その姿を見たら、「俺は何をこれぐらいで、下を向いているんだ」と。カイシュウ君の姿に奮い立たせられました。

 それでも、どうしても不安が襲ってきた時は病棟の屋上へ行き、1人で歌っていました。FUNKY MONKEY BABYSの『あとひとつ』。絶対大丈夫、大丈夫だぞ、って。今も検査や経過観察で病院に行った時には、屋上で『あとひとつ』を流してボロボロ泣くんです。ここまで生きたぞって。

 入院中に痛感したのは、お笑い、そして応援の力でした。3回目の抗がん剤を打った後、限界のキツさの中で僕は「笑いたい!」と思ったんです。そこで思い出したのが、後輩のもう中学生、通称「もう君」です。

 僕はもう君に“突然歌わせる”という無茶ぶりの遊びを長いことやってるんですけど、副作用で悶絶している最中に電話して、「新曲できた?」と言ってみた。すると、もう君は「できましたよ」とテキトーなことを即答して、いつものように変な歌を歌うんです。「♪しじみ汁がおいしいな、ピリピッピピッ」って、本当に意味わかんない歌ですよ。

ペナルティ・ワッキー 撮影/河村正和