2020年6月、中咽頭がんを公表したお笑いコンビ・ペナルティのワッキーさん。壮絶な治療を乗り越えることができた背景には、病院で出会ったがんサバイバーの人たちから気付かされたこと、そして思わぬ人たちからの「応援」があった。闘病で学んだワッキーさんのTHE CHANGEとは。【第3回/全3回】

ペナルティ・ワッキー 撮影/河村正和

 人間誰しも、「いつ死ぬかわからない」ということを頭では理解しているでしょう? ただし、健康なうちは「死」がぼんやりしている。僕もなんとなくおじいちゃんになって、なんとなくそのまま死ぬものだと思っていたけど、がんになって、ぐっと「死」をリアルに感じました。だから、やりたいこと、やらなきゃいけないことは、まだパワーあるうちにやらなくちゃと考えるようになりました。

 2020年の8月に退院して、翌年2月14日にYouTube「ペナルティちゃんねる」で動画で復帰。復帰までの間、実は少し精神的にやられていました。治療中は下を向いたらがんに負けることになると思ってポジティブだったのに、退院して味がわからないのは、結構ダメージを食らいましたね。味覚がなくなると聞いてはいたけど、入院前にあれだけ美味いと想っていたカレー味のカップラーメンが不味いし、ヨーグルトはただのドロドロしたもの。これが一生続くのかと思うと絶望で、参りました。復帰できるまで回復したのは薬のおかげで、実は今も飲んでるんですよ。

 お笑いの舞台には、それから1か月半後の21年3月29日に復帰しました。復帰1発目のネタは、季節的に春の甲子園前だったので「応援団」です。ただ、10分のネタの最中、どうしても5分ぐらいで喉がカラカラになってくる。いろいろ考えた結果、途中で堂々と水を飲み、(相方の)ヒデに「いや、ミュージシャンか!」とツッコんでもらうくだりを入れましたが、全然ウケない(笑)。このまま僕は一生、ネタの間に水飲まなきゃいけないのかとまた落ち込みました。