「応援することの大切さを伝えるのも、僕なりの社会貢献かな」

 そんな時に、入院仲間だったカイシュウ君の友達から連絡が来て、カイシュウ君のお父さんから彼が亡くなったことを聞きました。入院中、カイシュウ君が頑張る姿に力をもらったはずなのに、また俺は下を向いている。舞台に立っている姿を見てもらうと約束もしたのに、20歳でカイシュウ君は死んじゃって、俺は50歳まで生きられている。そう思うと、ちょっと唾液が出ないぐらいで何なんだよって。上を向け! カイシュウの分まで頑張れ!って。

 その1週間後の舞台では、「水は飲まない」と決意して臨みました。もちろん喉はカラカラになります。だけど、絶対やってやるという強い意志を持ったからなのか、体が応えてくれるんですよね。唾液のはずはないのに、水分みたいなものが湧いてくるように感じて、ネタの10分間をクリアできました。これは大きな自信になりましたね。カイシュウ君には、二度も大きな力をもらった。あれから5年、今もカイシュウ君のことを思って舞台に立っています。

 がんを経て優先事項に上がってきたのが、社会貢献です。社会貢献といってもいろいろな形があると思っていて、僕は僕ができることを精一杯やるだけです。

 たとえば僕はサッカーが大好きで、今もプライベートで母校・市船(船橋市立船橋高等学校)の試合を見に行くんです。今年はインターハイの千葉県予選決勝 に行きました。応援団がめちゃくちゃいい応援していてね、僕は思わず応援団のところに行って「ここの空気感は絶対ピッチに届いているから、ここで負けたらピッチも負けるぞ!」って熱くなって。応援することの大切さを伝えるのも、僕なりの社会貢献かなと密かに思っているんです。その甲斐あって、市船は2大会ぶり32回目の全国出場を決めました。

ペナルティ・ワッキー 撮影/河村正和