『マトリックス』シリーズ『ハリー・ポッター』シリーズの配給を統括し、『るろうに剣心』シリーズ『許されざる者』で製作総指揮を務めたワーナー元社長、ウィリアム・アイアトン。
2393億円以上の興行収入を叩き出したヒットメーカーが、その半生と映画ビジネスの深淵を綴った著書『日米映画の架け橋 ラストサムライ 2393億円の男』(双葉社)を上梓した。双葉社 THE CHANGEの本連載では、日米のトップスターたちの知られざる素顔や、歴史的メガヒットを生み出したビジネスの熱狂を、彼の生々しい証言とともにひも解いていく。
第3回の主役は、『マトリックス』シリーズで世界を熱狂させたキアヌ・リーブス。 9月2日に62歳の誕生日を迎えたばかりの現在も、ブロードウェイ舞台への挑戦や自身のロックバンド「Dogstar」での活動など、年齢を感じさせない若々しさで多彩に活躍を続けている。かつて大ヒット作『スピード』の続編オファーを、「バンドのツアー活動を優先するため」に断った逸話を持つほど自身の美学を貫く男だが、どれほど巨万の富を得てもその謙虚な素顔は不変だった。
そんな彼が来日時に「どうしても行きたい」と熱望したのは、東京・恵比寿のとある場所。だが、トップスターの突然の登場に街はパニック寸前! スタッフが冷や汗をかきながら決行した、まるでサスペンス映画さながらの“大脱出劇”の顛末とは――。
『スピード2』への巨額の出演オファーを辞退!その驚きの理由とは?
62歳となった現在も、年齢を感じさせない圧倒的な若々しさで精力的に活動を続けるキアヌ・リーブスさん。近年ではブロードウェイ舞台『ゴドーを待ちながら』への主演や、自身のロックバンド「Dogstar(ドッグスター)」のベーシストとしてのツアー活動など、映画の枠を超えて世界中のファンを魅了し続けています。
彼はかつて、大ヒット作『スピード』の続編『スピード2』への巨額の出演オファーを、Dogstarのバンドツアーを優先するために辞退したという有名な逸話を持つほど、己の情熱と生き方の美学を大切にする人物でもあります。
そんな彼が主人公ネオを演じ、それまでのSFアクション映画の概念を根底から覆して世界中に社会現象を巻き起こしたのが、映画『マトリックス』シリーズでした。作品の世界的メガヒットにより、彼は名実ともにハリウッドのトップスターへと上り詰めましたが、私が仕事を通じてお会いした彼は、いつでも物静かで穏やか、そして非常に知的なジェントルマンでした。
彼のプロ意識の高さは、来日時のインタビュー取材の現場でもよく現れていました。一般的なハリウッドスターの取材では、映画の話のほかに「日本の印象はどうか」「オフの日は何をして過ごしたか」といった、いわゆる雑談的な質問が多いのですが、キアヌさんは事前にスタッフを通じてこうリクエストしてきたのです。
「お寿司が好きかとか、どこに観光に行ったかというような表面的な質問は避けたい。それよりも、映画のテーマや設定、物語の内容について深く掘り下げてくれるような、中身のあるインタビュー企画を優先してほしい」
自分が命を吹き込んだ作品を、観客に正しく、深く届けたいという強い責任感を持っているからこその要望でした。 一方で、プロモーションの一環として出演したテレビのバラエティ番組などで、映画の本質とは異なるカジュアルな質問が飛んできたときには、決して嫌な顔をすることなく、終始穏やかな笑顔で完璧にこなしてくれる優しさと柔軟性も持ち合わせていました。周囲への配慮を忘れないその姿勢に、私たちはいつも救われていました。