小学2年で飛び込んだ映画の世界から、小劇場の熱気、『蒲田行進曲』や『スチュワーデス物語』での大ブレイク、そして落語やひとり芝居への挑戦。
 つかこうへいや深作欣二といった天才たちと時代を創り上げてきた名優・風間杜夫(77歳)。
 現在も朗読劇『古事記』の全国ツアーに挑み続ける彼が「THE CHANGE」を語るインタビューもいよいよ最終回。独自の「鈍感力」と生涯俳優を貫くレジェンドの生き様、そして、心に刻まれた名女優たちの記憶に迫る。

風間杜夫 撮影/河村正和

大竹まことら同世代の活躍にも「無理して頑張ってもね」 風間杜夫が平田満の言葉で実感した“役者のリアル”

 小学2年のときに飛び込んだ映画の世界。小劇場の世界。アイドル的な扱いもされる大ヒットドラマとの出合い。落語への挑戦。ひとり芝居。これほど、さまざまな景色を見せてきた俳優も少ないかもしれない。

「確かに、いろんなものを見てきたというのはあるし、それは役者として活かされてるのかもしれないですね。

 役者って、記憶力というか、いろんなところでいろんな場面を見て、そのときに自分にどんな感情が湧いてきたかというのを全部記憶しておくと、楽なんですよね。

 そういう記憶をもとに、自分の役と向き合うことが役作りのヒントになる。“この感情って、あのときのあれに似てるな”って。結構そういう記憶力はあって、得してるのかなって思いますね。

 どちらかというと、若いときの蓄積ですよね。いろんな悔しい思いをしたり、嬉しい思いをしたり、そういう若いころの記憶が活きてるのは間違いないですね」

 芝居と向き合い続けた風間さん。しかし風間さんだけでなく、たとえば学生演劇の頃、小劇場をともに作り上げたシティボーイズの面々など、同世代の多くが現役として活躍し続けている。

「息が長いというか、みんなすごいよね。柄本明さんはもちろん、東京乾電池のメンバーもすごい。ベンガルさんも綾田(俊樹)さんも頑張っているしね。それから(佐藤)B作さんも。シティボーイズの面々、あえて呼び捨てにするけど大竹まことに、きたろうに、斉木しげるも頑張ってる。みんな同世代」

——同世代の頑張りはパワーになるんじゃないですか?

「いやいや、頑張ってどうなるの?って感じですから。

 これ、平田(満)もラジオで言っていたんだけど、昔、僕らが学生の頃に見た風景だけど、新大久保のあたりで立っている人たちがいて、いろんな建築現場からその日の労働者を集めにトラックが来るんですよ。そこで呼ばれるとトラックに乗って現場に行く。呼ばれなきゃ1日仕事にあぶれるという感じで。

 それは俳優をやっていても同じだって。いくら俺使ってくれと頑張っても、声がかからなきゃ何も生まれない。平田の言葉聞いて、ホントそうだなって。無理して頑張ってもね(笑)」

 そして、その無理をしない、無茶をしないというのは、今の健康法にもつながっているという。