痴漢に誹謗中傷の手紙…壮絶な嫌がらせと胸を打つエール

 がんになってがっかりしたのは、通りすがりの人から急に胸を掴まれたり、「死んじゃえばいいのに」という手紙が寄越されたりしたこと。ヒマだよね。こっちには、そんなのに付き合っているヒマはないんだけどさ。

 でも、飛行機に乗った時にCAさんから「私も乳がん経験者です、頑張りましょうね」というメモをいただいたこともあって。レストランでも、他のお客さんから応援の声をいただいたりしましたね。そういう時に感じていたのは、“人と心が繋がっている”ことを感じられるのって、こんなに嬉しいんだということです。芸能人への応援とはまた違う。

 芸能界でいうと、新聞やテレビで私のがんが報道されたら、島倉千代子さんがすぐに電話かけてきてくださって、「私と同じね」って。55歳の時に乳がんを経験されていたから、「何でも聞いてね」って。病院の中でミニミニコンサートやっちゃった、なんて茶目っ気たっぷりに語ってくださって、素敵な先輩です。

 同じく乳がん経験者の倍賞千恵子さんは「栄養が大切だよ」と言ってうちに来て料理を作りながら、主人を励ましてくれました。患者本人だけじゃなく、家族の人も辛いということを私に気づかせてくれた、いい先輩ですね。

 先生に「私、死ぬの?」と訊いた日から、「やってみたいこと」を最優先に考えるようになりました。バラエティもドラマも映画もやったけど、そういえばミュージカルは未経験だなと思って、退院してすぐにミュージカルに挑戦しましたし、その頃から今も続けているのは、スター混声合唱団です。私が乳がん仲間や先輩に助けられたように、頑張っている人に“一緒にいるよ”ということを届けたい。病院で歌ったり、被災地へも行ったりしています。ささやかですけどね。

 あと、残りの人生は舞台にかけたいと思っています。私はすっかり“テレビ屋”の道を歩いてきたけど、元を正せば学生時代はクラスのみんなを笑わせるのが好きで、学校行事や公園で漫才やものまねをしていたタイプです。本当は落語家に憧れていました。

山田邦子 撮影/河村正和