自宅マンションは無事も、生活には影響が「エレベーターが2日間…」

──ご自身の生活面でも、相当な不便があったのではないでしょうか。

「一番大変だったのは、エレベーターが2日間完全に止まってしまったことですね。自宅が10階なので、階段の上り降りが大変で。一度下に降りると、自宅まで行きたくないくらいしんどくて……。その2日間で状況も少しずつ分かってきて、あのクレア(イオンモール熊本)の映像も見ました」

──10年前の地震の経験が活きていたと思うことはありましたか。

「熊本の皆さんは落ち着いていました。スーパーでも、買い占めみたいな混乱はほとんど見られなくて。皆さん過去の経験から“次は何をするべきか”が体に染み付いていたんだと思います。
 ガソリンスタンドにも長い渋滞ができていましたけど、車中泊になる方や、避難所に入れない方が多いことをみんな経験から分かっていたんですよね。それと、SNSの普及も、空いているガソリンスタンドを探したりするのに役に立ちました」

──自然に協力しあえるムーブメントが出てきたのですね。

「有志の方がすぐに無料のアプリを作ってくださって、買い物ができるスーパーやお風呂に入れる場所なんかもリアルタイムで探せられるようになりました。そういう時代になったのは、ありがたかったです」

地震から3日後、スザンヌさんは旅館を被災者のために開放した。もともと老舗旅館をリノベーションした龍栄荘だったが、時代に合わせてプライベートスペースに配慮していたことが、被災者のためになった。

「暑い中で断水が続いていて、お風呂にも入れない方々がいましたから。やっぱりお風呂くらい入れないと気持ち的にも前も向けないだろう……と、8月15日まで開けました。旅館がある河内町は八代からも離れていましたが、“余裕がある方なら遠方からでも来てください”って、家族風呂と広間を開けました」