若手俳優の登竜門と言われる特撮ドラマ『仮面ライダー』シリーズでブレイクを果たして以来、常に第一線を走り続けてきた福士蒼汰さん。近年では、Huluオリジナル『THE HEAD Season2』や、Netflix Korea『恋の通訳、できますか?』などへも出演し、その活躍の場はワールドワイドな広がりを見せている。
 双葉社「THE CHANGE」では、そんな福士さんの人生のターニングポイントや、価値観が「CHANGE」した瞬間に迫るインタビューを敢行。
 現在、極限の「逃走×追跡」ラブミステリードラマ『ハイド&シーク 0秒前の彼女』(日本テレビ系)で、過酷な逃亡劇に身を投じる主人公を熱演中の福士さんに、役作りのヒントになった世界的な名作映画や、過酷すぎる撮影の舞台ウラ、そして対峙する豪華共演者たちとの熱い現場の空気について語ってもらった!【第1回/全4回】

福士蒼汰 撮影/河村正和

「すでにアクション映画の頂点に到達している」――歴史的な名作に学んだ“絶対に諦めない”泥臭い男らしさ

 画面を通して伝わってくるスマートで爽やかな印象は、実際に会ってみても変わらない。しかし、現在放送中の主演ドラマ『ハイド&シーク 0秒前の彼女』で福士さんが見せるのは、無精ひげを生やし、泥だらけになりながら絶望の淵をひた走る、これまでになく野性味あふれる姿だ。

 福士さん演じる主人公・津倉勇一は、爆弾テロ犯の濡れ衣を着せられ、目の前で最愛の恋人・紗奈(志田彩良)を失う。韓国へ逃亡し、抜け殻のような日々を送る彼のもとに、死んだはずの紗奈から「私は勇一を信じてる」と一本の電話がかかってくるところから、予測不能な物語が動き出す。

「津倉は、表向きはフリージャーナリストですが、実は公安捜査員という裏の顔を持っています。とても熱血漢で、常に行動しているタイプです。それなりの能力も運動神経も持ち合わせているので、困難に直面しても立ち止まらずに突き進んでいきます」

 今年2026年の1月期に放送された主演ドラマ『東京P.D. 警視庁広報2係』で演じた広報官・今泉は、どちらかというと内に秘める“静”の印象が強かった。わずか半年での連続ドラマ主演となるが、その役柄のギャップはどう捉えているのだろうか。

「今泉も同じ熱血漢だと思います。ただ、彼の場合、社会に揉まれて動けないというジレンマが描かれていました。そういう意味では、今回の津倉はより自由に行動し、権力にも逆らっていくようなキャラクターなので、その違いは明確に意識して演じています」

 津倉に関しては「初めて演じる男っぽいキャラ」と分析する。その男っぽさを表現するうえで参考にしたのは、1988年に製作されたアクション映画の金字塔『ダイ・ハード』だ。

「『絶対に諦めない』というブルース・ウィリスの泥臭い男らしさを見て学びました。マクレーン刑事は、その場その場で起きた大ピンチを、そのときにあるモノを調達して、身ひとつで乗り越えていく。たった一人の男が強大な敵に立ち向かっていったり、ラブストーリーの要素もあったり、『ハイド&シーク』と通じる部分が描かれていると思いました」

 CGがない時代の生身のアクションの迫力に、福士さんも圧倒されたという。

「CGのない時代にあれだけのことをやっていて、すでにアクション映画の頂点に到達しているなと思いました。これだけ素晴らしいものが88年に作られていると、これは越えられない、もう作りたくないって感じるくらい圧倒されました(笑)」

 そう笑いながらも、劇中では福士さん自身も体を張ったアクションに全力で取り組んでいる。今回はアクションに『パルクール』(フランス郊外の若者たちが生みだした、走る・跳ぶ・登るといった「移動」をすることで心身の鍛錬を行う運動方法)を取り入れているのも見どころだ。

「プロデューサーさんから『パルクールをやりたいと思っていて』という話がありました。僕がもともとパルクールをやっていたことをご存知だったのかは分からないのですが(笑)」

 ヒロインの紗奈を演じる志田彩良さんとは約3年ぶりの共演となる。福士さんは志田さんに対し、「20代前半から後半になり、可愛らしさも残っているんですけど、中身がグッと成長して大人になったなって印象がありました」と再会を喜ぶ一方、志田さんからは「止まっている福士さんを見たことがない」と言われるほど、過酷な撮影が続いているという。

「第1話から4話目ぐらいまでは、とにかくずっと走っています。ドローンやパトカーに追われたりしながら。むしろ殺陣などの格闘アクションのほうが、僕としては慣れているので気楽なくらいです。全力で走り続けるというのは、体力的にも一番キツいですね」