「師匠に見透かされると思い、師匠のところへ足が向かなくなりました」そんな矢先の出来事
「でも、そのころはどこか盆栽を道具のように見ていたんです。ビジネスとしてしか盆栽を見ていなかった僕は、きっと師匠に見透かされると思い、師匠のところへ足が向かなくなりました。お金のためにやっていたことを、自分でも心のどこかでよくないことだと感じていたんです。
そんなあるとき、“師匠が危篤だ”と連絡が来ました。飛んでいったら、ベッドで僕を待っていてくれました。そして“鈴木君、いい盆栽といい弟子を残しなさい”とおっしゃいました。27歳になっていた僕は、盆栽の素晴らしさを教えていただいた師匠との日々を思い返し、そこからは師匠に及ばないまでも腹をくくって、盆栽のために尽くそうと決めたんです。これも大きな“THE CHANGE”かもしれません」

盆栽に人生を賭している鈴木さん。2025年9月には、地元・小布施に盆栽の魅力を多角的に体験できる「盆栽美術館(仮)」がオープン予定だという。
「父が亡くなったこと、母が借金を抱えたことなど、どれも僕にとっては盆栽に巡り合うための幸運だったと思っているんです。師匠は徳のある素晴らしい人でしたから、一緒に過ごし学べたことは、僕の人生で最高の宝です。本当に感謝の気持ちでいっぱいなんです」